こんなはずじゃなかったのに
自分自身も経験していることですが、予定どおり太陽光発電所で収益があがらないというトラブルって最近増えていないでしょうか?
特に太陽光発電所に悪いところが見つからないのに売電金額が想定よりだいぶ低い。しかもそれが続く。
こんなことが起こったら大変ですよね。
うちは、「メーカーシミュレーションだから絶対大丈夫!!」と業者が言ってる。
うちは、「実績をもとにした独自シミュレーションだから絶対大丈夫!!」と業者が言ってる。
うちは、「基本シミュレーションは上振れします。下振れなんて聞いたことない」と業者が言ってる。
そうですよね、実際結果が出るまでは業者の営業さんは強気なセールストークですよね。
でもちょっと待ってください、仮にですが実際メーカーシミュレーション下振れして営業さんにクレームつけたらどうなると思います?
最近は、大半の営業担当から帰ってくる答えはだいたいこんな感じです。
「わからない」
「シミュレーションは参考値で保証される訳ではない」
「天候の差があるので、短期間では判断できない」
「ほかの客にも同様の条件で売っている」
※これは実際に複数の業者から得た実際の回答です。
この業界は今、売り手市場なのでまともに取り合ってもらえない場合が多いと思います。
なぜこのような不幸が起こるのか?
当の業者営業としては、メーカや使っているシミュレーションソフトが出す出力をそのままお客さんに伝えているだけなのに「なんでクレームになるの?」ぐらいの感覚のようです。
売り手市場である事も手伝って、ついついクレーム対応が疎かになり、大きなトラブルに発展する場合が多いようです。
という訳で、メーカロゴも入っていていかにも「信頼できる」と思えてくるシミュレーションですが、何かありそうですね。
メーカーシミュレーションという言葉を鵜呑みにしない
あまり赤裸々に書いてしまうとなにかと問題ありそうですので、一言で書きますと今のメーカーシミュレーションは「あまり精度が高くないと思います。」
極稀に「まっとうな仕事されていますね」というシミュレーションが出てくることがありますが、多くの場合は「良くてシミュレーションどおり、下手すると下振れ」というケースが散見されますし、ひどいものになると過積載200%なのにピークカットの損失を考慮していないようなものまであります。
ただでさえ、分譲購入したオーナーとしては、トータル売電額の2割ほどしか自分の手元に残らない状態です。
シミュレーション段階で1割も2割も不利があったらそのまま浮き上がって来れない事も考えられます。
ではどうするのか?
対策としては、自分で精査するしかありません。
自分で、発電シミュレーション値を検算してメーカーシミュレーションと比較することで、どの程度差があるかハッキリ分かり、あまりにも酷い場合は事前に購入を見送り危険を回避できます。
やり方は簡単です。この2点だけです。
1.太陽光発電所場所の年間平均日射量を調べる。
2.計算式にあてはめる。
例を挙げてやってみる
この条件の太陽光発電所をシミュレーションしてみましょう。
京都府宮津市
パワコン44kW、パネル71.04kW 架台角10度 方位角15度
メーカーシミュレーション値 76,959kWh
日射量を求める
まずは、日射量を見てみましょう。
1.NEDOの日射量データーベースのWebページをアクセスします。
http://app0.infoc.nedo.go.jp/
2.年間月別日射量データベースを選択します。
3.太陽光発電所の都道府県を選択します。
太陽光発電所のある都道府県を選択してください。
4.日射量の観測点を選択します。
太陽光発電所に一番近い(もしくは気候が似ている)観測点を選択します。
5.表示ボタンをクリックします。
6.選択した観測点の情報が表示されます。
7.表示データ選択の「角度指定」を選択します。
8.角度指定データの表示種類の「傾斜角指定」で太陽光発電所の架台角度を設定します。
9.方位角を設定します。
方位角は真南を0度として、東西いずれかに何度か?を入力します。
東に15度とか西に15度の場合は、15度となります。
10.グラフ上の日射量の「平均」の部分の値を確認します。
この場合は、3.47kWh/m2が年間平均日射量になります。
計算式にあてはめる
次に計算式にあてはめてみましょう。
================
Nedoの日射量値(kWh/m2)×365(日)×パネル容量(kW)×0.8×ピークカット係数
※0.8はシステム係数とよばれる、実際の損失を考慮した係数です。
過積載率 ピークカット係数
130% 0
140% 0.99
150% 0.98
160% 0.96
170% 0.94
180% 0.92
190% 0.9
200% 0.88
================
実際の値をあてはめてみると
3.47(kWh/m2)×365(日)×71.04(kW)×0.8×0.96=69,101(kWh)
この値が「シミュレーション通りもしくは、ちょっと上振れ」のシミュレーション値になります。
シミュレーション値の分析
メーカシミュレーション76,959(kWh)を分析してみましょう。
3.47(kWh/m2)×365(日)×71.04(kW)=89,975(kWh)
この太陽光発電所のシミュレーション値から損失を加味する前のデータとメーカシミュレーション値を計算すると
Nedoの日射量値(kWh/m2)×365(日)×パネル容量(kW)×0.85
という計算式でシミュレーションされているのではないか?と推測できます。
ピークカットについては考慮されていない可能性が高いと推測できます。
その上で、実際に売電金額を計算し納得もしくは妥協できるキャッシュフローが構築できると判断できれば話を進めればよいですし、納得できなければ契約前に話を断ってしまいましょう。
世の中には、太陽光発電所を買って後悔している方も意外と大勢おられます。
皆さんお気をつけて、案件をご選択下さいね。
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コメント
丁寧な計算式ありがとうございます。
あと大雑把ですがパネルの45度程度、黄道上に障害物があれば、10%スケールのロスが発生します。30度以下なら1、2%スケールでほぼ問題はありません。
確かにピークカットロスは考慮されていない業者シュミレーションは多いです。
また最近のシュミレーションは上振れがほとんどありませんね。
利回り10%が限界点だと言われていますが、利回り10%は減価償却5%を引くと5%にしかなりません。ローン2%、固定資産税1.4%払うと1.6%しか残りません。リスクはありますが、株式投資の方が利益出せるのではないでしょうか。
太陽光発電事業は最初の10年は赤字にならずしも、贅沢は全くできない、そんな大変地味な事業だと思います。営業努力はいりませんけどね。
太陽光はローン組めるというのもサラリーマンからするとメリットですね。