送配電が見る2031年を読み解いてみた(解けたとは言ってない)

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今回は「送配電のプロ」が何を考えているのか少しでも読み解いて、オジサンが分かるレベルに纏めてみたいと思います。

九州で起こっている出力制御についての仮説でこの先出力制御はどうなるんだろうという仮説を立ててみたのですが、今一歩幅が広く今後のあたりを付けるには情報が少なすぎるため

エネ庁の出している「再生可能エネルギー出力制御の長期見通しについて」を読み進める事にします。

ちなみに、エネ庁の資料は「オジサンが読むには苦行すぎる」ため翻訳されたこの記事から入る事をお勧めします。今後の太陽光・風力の出力制御はどの程度か? 長期見通しと低減策の試算結果

九州電力の想定

設定された2031年の状況

九州電力管区については下記資料から見ると

現在太陽光が1,127万kW、風力が63万kW接続されています。

そこから2つのケースを前提として検討しているようです。

ケース①

「2031年には太陽光が+377万kW新規接続、風力が+320万kW新規接続された場合を前提にするね」

これは足元の計画の1倍という数値らしいですね。九州電力のHPの太陽光の接続の変遷からグラフ化してみたら新規接続量は直近より落ち込むんじゃないかと予想されているようですね。

ケース②

「2031年には太陽光が+566万kW新規接続、風力が+480万kW新規接続された場合を前提にするね」

これは足元の計画の1.5倍という数値らしいですね。九州電力のHPの太陽光の接続の変遷からグラフ化してみたら2020年から2022年ぐらいまでの伸びをそのまま継続したらこれぐらいになるようです。

風力に関しては現状の6倍とか9倍ぐらいの接続量になる想定がされていますが

これがリアルなのかどうなのかは調べてないです。

にわかに信じがたいですけど洋上風力がくるんでしたっけね?

出力制御を減らす努力について

「ケース②の場合でそのまま対策をしなかったら、九州電力の出力制御は26%ぐらいになるよ」

と言う事で、3種類の対策をした場合どうなるかを算定してみようというのが以下のようです。

需要対策

「需要の底上げをしたら状況が良くなるよね」

という考えのもと

「各エリア最低需要の10%分について、蓄電池が6時間容量分の需要創出と仮定」

するとどうなるかを考えているようです。

むずかしい表現なのですが、たとえば地域需要700万kWだったとしたら10%の70万kW×6時間で420万kWhの蓄電池があれば。。。という話だと理解して進めます。

うまくいけば6%出力制御が回避できるんじゃね?という結果のようです。

供給対策

「火力発電所のアイドリング出力量を減らせば供給量減っていいんじゃね」

という考えのもと

「電源Ⅰ~Ⅲの火力発電所の最低出力を3割ぐらいから2割とした仮定」

するとどうなるかを考えているようです。

うまくいけば3%出力制御が回避できるんじゃね?という結果のようです。

系統対策

「余った電気を東京に送ればいいんじゃね」

という考えのもと

「現在建設中の地域間連系線の増強に加え、マスタープラン中間整理において増強の必要性が高いとされた地域間連系線が増強されたと仮定(関門連系線さらに+278万KW)」

するとどうなるかを考えているようです。

カタログスペックでは17%出力制御が回避できるんじゃね?という結果のようです。

一旦整理

ケース②(2031年計画の1.5倍の新規接続があった)前提で出力制御は26%

・需要対策効果は机上で▲6%

・供給対策効果は机上で▲3%

・系統対策効果は机上で▲17%

それらをまとめると26-6-3-17=0

「考えている3つの対策をすれば出力制御なしの2031年も可能である」

というよりは

「頑張って再エネ増やした先の2031年に出力制御を殆どなくすにはこういう対策を取らないといけない」

と一旦はまとめてあるのではないかと思います。これは各電力会社管区同様の切り口っぽいです。

どうやらそれだけでもないらしい

ここまでで終わっておけば良いのですが、この資料最後に(参考)という資料がついていて

この資料が真逆の結論を導いているようで何が書いてあるのか理解が追い付かない。

この資料の趣旨は「連系線を活用するとしても、送り側だけじゃなくて受け側の都合もあるからそれを考慮したらこうなります。」

と読み取れるのだけれど

・前提となる条件が、今まで進めている計画1.5倍から計画1.0倍に減っている

・連系線活用量0%・100%の際のデータが今までと比べて激増している

表から感じられる事は

「東京・中部・関西以外では発電事業はかなり厳しい」

と書いてあるように読み取れる

はたまた、あくまで趣旨だけ抜き出して

「受電可能量の考慮をした場合活用量100%から3~20%ほど効果さがるかも」

と理解したらいいのやら

まとめ

ひとまず今回のまとめとしては前回の仮説からもうちょっと楽観方向に考えても良いのかな?

という印象を受けました

というのも数年前の資料から読み解く印象より「だいぶ現状踏まえて現実的な考え方に寄ってきている」ような印象が持てました。

まあ、結局はこれから2031年に向けて

・再エネの新規接続量がどれぐらい増えるのか?

・電力需要や需給調整能力をどれぐらい揃えられるか?

と言う事を随時追いかけないと未来は分からないと言う事ですね

記載されている3つの対策も「やらないといけないね」っていう議論まではあったと思いますし、系統蓄電池などは補助金で少しづつ始動している感はあります。

火力発電所の改造なども前から議論が進んでいます。

今後も情報を追わないといけないなと感じた今回でした。

最後になりますが、本資料の対策にもあるように火力発電所へのあたりが凄く強く

一般送配電の資金源である託送料金と原発&火力のうち火力の損失がどんどん増してる感じがします。

利益がどんどん削られている一般送配電のお金が期待できないのであれば、公金・補助金などを頂いて対策をしていく事になる訳です。

ソーラーは再エネの花形的位置づけで見られますが、送配電、火力発電に支えてもらえないと独り立ちできない存在であるのも確かです、そのあたりも踏まえてこれからも情報を出せればと思います。