7電力の報告書は一読の価値あり
前回記事(これからの出力制御が分かるエネ庁系統ワーキンググループ議事)の続きです。
今回は、11月12日に開催された「エネ庁系統ワーキンググループ」の本題である7電力の今後の出力制御の見通しについて触れます。
開催資料
http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/018.html
この膨大な資料の中に、沖縄電力から北海道電力までの主要3電力を除く今後の見通しが報告されています。
地元の電力管区の資料については、ご一読頂いた方がいいかもしれませんね。
九州電力を例に取りますと電力管区のベースラインが書かれています。
下図のように、このベースライン(電力需要)に供給側の調整限界ライン(赤線)を想定して書き込んであげると、その管区での直近の出力制御タイミングがなんとなく見えてきます。
出力制御について気になっている方は、ここだけでも要チェックですね。
再生可能エネルギーの出力制御見通し
この資料だけ読むのは結構難しく、何度か目を通さないと文意が掴みにくいと思います。
一言で言うと「各電力で現状の状況を踏まえ、10年後の出力制御見通しを再精査しました。」という資料になっています。
それを取りまとめた資料がこちら(資料1-8 各社出力制御見通しの算定結果[事務局])
電力管区の10年後の再エネ接続量を松・竹・梅それぞれ3想定し、電力管区で連系線で域外送電できる量をこれまた松・竹・梅それぞれ3想定しマトリクスにしたものが太陽光がP17~P20、風力はP21~となっています。
これによると
北海道・東北・北陸・四国電力「連系線使えたら数%の出力制御でいけます。連系線使えなかったら30%以上抑制かかります。」
中国電力「連系線使えても10%台の出力制御になるかも・・・。連系線使えなかったら30%ぐらい抑制かかるかも・・・。」
九州電力「連系線止められたら半分以上出力制御かけないとダメです。」
沖縄電力「連系線ないので出力制御不可避です。」
とおっしゃっています。
原発再稼動計画
これら見通しは、「各分野の発電所の供給力を精査」「対策を精査」「10年後の指定ルール接続増分予測」を組み合わせて計算しているんです。
その中で、何すか?これ。
原発が再稼動する前提で計算されてるんですけど。
この前提条件は話の流れからすると経産省側から出ていると思われます。
「これダメですよね?」
※原発欄の赤線内は既に再稼動している原発で、それ以外は今止まっている原発なんです。
そもそも、原発再稼動を計算に入れなければ出力制御しなくていいんですよね?10年後でも。
マスコミ各位は「出力制御はじまります!!」みたいに触れ回っておられますが、九州電力の時のようにゴリ押しでそういう空気作るのやめてもらっていいですか?
余剰電力は一体どこへ?
さて、連系線の話が出力制御の話にはつきもののようですが、域外送電した余剰電力は一体どこへ行くのでしょうか?
資料の内容を纏めるとこうです。
これ主要3電力にギガ級の余剰電力を押し付ける計画になっていますが、そもそもこのワーキンググループに主要3電力は参加していないんです。
ここ一体どうなっているんでしょう?
いかに主要3電力と言えど電力の軽負荷期にギガ級の余剰電力がやってきたら捌ききれませんよね。
そうなると主要3電力と言えど無傷ではいられませんよね。
そうなると余剰電力の押し付け合いで、計画値に狂いが生じ全国的に抑制が発生なんてことも考えられますよね。これはまずい。
我々関西電力管区の事業者は安泰なのでしょうか?
関西電力管区の新しい出力制御ルールは対象設備が全設備で、360時間の新ルールなんですよね。
「経過措置として、50kW未満の太陽光と20kW未満風力は、当分の間、新しい出力制御のルールは適用しない。」
つまり、低圧も含め出力制御しないなんて最初から言ってない!!ということなんですね。
一瞬先は出力制御ということで、原発再稼動の計算を除外すると数年は持ちこたえられるような気がしますが、現在「対策」とよばれている連系線の件は「いずれ破綻する策」であると思われます。
ソーラージャーナルVol.27に非常に興味深い記事がありました。
「再エネの達人」という記事で、出力制御についての記事が書かれています。
出力制御の前にやることがないのか?
・関門連系線のアンタッチャブルゾーンを正せ
・出力制御の補償をFITからではなく託送料で広くから徴収せよ
・再エネより先に原発の出力制御を先にせよ。速度を落とせばできるはず
有識者の方はいろいろ妙案をお持ちのようです。
これ、事業者全体で知恵を集めないといけない時期に来ていると思います。
これからも考え続けて行きたいと思います。
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